コロナ禍は人々の生活に甚大な被害をもたらしている。けれど、全てが悪いことばかりではなく、もちろん良いこともある。例えば、ホワイトワーカー層での在宅ワークの普及とか。
自分個人で言えば、懐かしい人達から便りがあった。
大学時代の友人からLINEでメッセージが届いた。彼との出会いは大学の LGBT サークル。僕はゲイで、彼はトランスジェンダー。というか、いまは単純に「男性」と言った方がいいのかもしれない。
他にもたくさんゲイはいたけど、なんだかんだ一番仲良くしていたのがゲイ以外、というのがなんとも。自分らしい。
当時はかなりこじらせ系のゲイだった。まぁ一言で言うとめんどくさい性格。おとなになった今、そういうめんどくさい系のゲイは避けてるので、当時の自分が孤独だった理由をいまさらになって知る想い。というのは余談だけど。
友人の彼はいまカナダにいる。
大学時代に一番仲の良かった友人が、遠くに行ってしまった。それはとても寂しいけど、コロナ禍が始まった時に連絡しなかった自分は冷たい性格だと思う。
人間関係を丁寧に維持したい。そんな想いが湧いてきたのはようやく最近になってからだ。
年末年始に長期休暇を取った時に、やりたいことを列挙した。そのうちの1つが「人間関係を丁寧にすること」。
アラサーになってようやく人との繋がりって大事だなと思えるようになってきた。
今までは人生を良くすることで忙しかった。心が慌ただしかった。というのは言い訳か。
実際に久しぶりの人に連絡するのは楽しかった。何よりも簡単だった。LINEで一報入れるだけ。こんな簡単なことを今までサボってきたのかと。
そして案外返信はくるもんだ。
ちなみに、カナダの彼は向こうから連絡をしてきてくれた。
このブログを知っているので、僕の近況は分かっているのかもしれない。
近い内にお酒でも飲みながら、LINEだかZoomだかで話すことになりそう。
ゲイにありがちかもしれないけど、僕は高校以前の人間関係って全て消えてしまっている。だから、カナダの彼は、僕にとっての最古の友だちになる。まだこのブログすら始める前。大学時代の僕を知っている人と話す機会はとても希少だ。
どんなことを話すのか、今から楽しみ。
それから、また別の人からもLINEがあった。
台湾に住んでいるAくんから「久しぶり」的なLINEが。彼と会ったのは2014年頃だと思う。Jack'd というアプリ(懐かしいね)を通じて出会った。
出張に来ていた彼と2丁目で飲んだ。当時は2丁目というか、そもそも新宿自体にも馴染んでいなくて、そんな自分が台湾人の彼を必死で案内したのは、いま思い出すと微笑ましい。
その後、2017年。僕は初めて海外に行った。それが台湾。台北に住んでいる A くんに、今度は案内してもらった。西門(シーメン) というゲイバーが多くある街を案内してもらったんだけど、そのときは旧正月で人が全然いなくて、それもまた可笑しかった。
最後に会ったのはいつだろうか。2018年頃かもしれない。
2丁目で現地集合して、飲みまくって、Arty のトイレに立てこもった彼を引きずり出し、一緒にタクシーで西新宿まで帰った。懐かしい。
それからすっかり連絡が途絶えていた。
けど、このコロナ禍で、向こうから「日本は大丈夫?」的なLINEをもらった。僕はすぐに返信した。
台湾の IT 大臣。オードリータンさんのインタビュー本を読んだばかりだった。
コロナのこと、東京オリンピックのこと、台湾の政治のことなど。LINE で話している。
現在進行系で衰えつつある英語力だけど、なんとかチャットならできるみたいだ。でもこうしてチャットをしていると、やっぱり英語で話す機会が欲しくなる。リハビリ的な。
そんなわけで、コロナ禍で再開した会話について書いてみた。
サン・テグジュペリの「人間の大地」という小説でこんな一節がある。
カサブランカで、ダカールで、あるいはブエノスアイレスで一晩限りのテーブルを囲めば、僕らは数年のあいだ中断していた会話を再開し、昔の思い出を介してふたたび結ばれる。
昔の思い出を介してふたたび結ばれる。なんとも素敵な一文だと思う。今まさしくこんな気持ちでいる。
コロナがもたらした被害を思えば、早く収束してほしい一心だけど、それでも物事には良い側面もあるんだなと思う。