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ちょっとマジメなゲイが書くブログ

恩田陸の初期作「ネバーランド」を読んだ

好きな作家を聞かれると困ってしまう。

でも、強いて言うなら恩田陸が好きかもしれない。中学生の頃に「光の帝国」を読んで以来、5, 6冊を読んできた。どれも読みやすかったし、とりわけ直木賞を受賞した「蜂蜜と遠雷」は素晴らしかった。

そういうわけで恩田陸への理解をもっと深めるために、初期の作品である「ネバーランド」を読んでみた。

  

 

舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の「告白」ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる「謎」。やがて、それぞれが隠していた「秘密」が明らかになってゆく。驚きと感動に満ちた7日間を描く青春グラフィティ。

 

実家に帰らずに寮で年末年始を過ごす、4人の高校生のお話。と聞くと、あらすじにある通りの「青春グラフィティ」だと予感してしまうけど、実際にはもう少しシリアスなお話。

 

実家に帰省しない彼らは少しだけ「ワケアリ」で、寮での共同生活を通して問わず語りを始めていく。彼らが語る各々の家族の「悲劇」は、読んでいてちょっとだけ青臭い。お互いに触れられたくないはずの過去は、いつもとは違う寮の雰囲気も手伝って、飾られること無く明かされていく。

 

進学校に通うエリートの彼らが当然のように、喫煙・飲酒をする描写はいかにも青いというか、まるで少女漫画のようだと思った。当然のようにキャラクター達は美形として描かれているし。

 

それでも、少年たちを中心とした問わず語りの空気感は見事。ゆっくりと時間が流れていくあの年末年始の空気感、そして少年たちが語る剥き出しのままの過去の告白。それらの塩梅はなんとも適切。

読み始めにはつい会話と描写の青臭さに照れくさくなってしまったけど、物語の後半にはすっかり空気感に浸ってしまってしまった。

 

初期の作品らしい未完成らしさがありつつも、既に恩田陸の魅力が現れている良作でした。