どうも、ゲイブロガーのchuck (@chuck_blogger) です。
映画「蜜蜂と遠雷」を観てきましたので、その感想です。ちなみ、公開日である10/4(金)の朝イチで観てきましたw
原作は言わずとしれた恩田陸さん。本作は直木賞と本屋大賞をW受賞し、大変話題になりました。
個人的に、恩田陸は好きな方で、今まで8冊の著作を読みました。
「蜜蜂と遠雷」は特に好きな方で、映画には並々ならぬ期待を持っていました。
どうか、原作の世界観の良さを活かしてほしい…!
そんな読書家であり、原作厨wでもある僕が映画も観てきたのでレビューを書きます。
※原作を読んだのは2年前なので、一部記憶が間違っている箇所があるかもしれません。その場合は、コメント等で指摘していただけると幸いです。
予告
あらすじ
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。
養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。
第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?
キャストについて
まず何より、キャストについて。正直に言うと、満足と不満は半々くらいですかね…w
栄伝亜夜: 松岡茉優
一番好きなキャラである栄伝亜夜は松岡茉優さんが演じました。
個人的に松岡茉優は好きな女優です。無垢なところもありつつ、トラウマを抱えるピアニストでもある。そんな栄伝亜夜の役柄によくマッチしていたと思います。
マサル・カルロス・レヴィ・アナトール: 森崎ウィン
次に、マサル。彼もまたコンプレックスを抱いたキャラであります。ハーフとして周りに馴染めなかった過去を持っていたはずですが、映画ではバッサリとカットでしたね…。
また、原作の印象では、もっとゴツい人物を想像していたのですが、演じたのは森崎ウィン。なんかイメージと違う…。それでもこれはこれで良いかも的な良さがありました。
栄伝亜夜とマサルが二人でレストランでカデンツァについて語り合うシーンがとっても微笑ましくて良かったです。
風間塵: 鈴鹿央士
次に、風間塵。天才音楽家がコンクールに送り込んだ、天才少年ピアニスト。
キャスティングは最高!こんなにイメージにピッタリの子、どこから見つけてきたの?と言いたくなるくらい。恩田陸さんが書く無垢な少年を、具現化させたかのような役者さん。
しかし、原作ではもっと抜身のナイフのような冴えた音楽を奏でる印象だったのですが、映画ではマイルドになってましたね…。
高島明石: 松坂桃李
ちょっとミスマッチだと感じたのが、高島明石のキャスティング…。
コンテスト参加者のうち、高島明石はちょっと異質なのです。音楽を専門に学んでいるわけではなく、プロのピアニストになりたくてギラギラしているわけではなく、あくまで一般の生活者として音楽を演奏するのです。
妻帯者であり、子どももいる。上述のピアニストたちと対比的に描かれるはずなのですが…。
松坂桃李があまりにも若々しく見えて、高島としての良さが出ていなかった…。声と雰囲気は良かったのですが、無理に苦労人を装っている感じがしてw、ちょっと浮いていた気がします。
仁科雅美: ブルゾンちえみ
コンテストの撮影者である仁科を演じるのはなんと!ブルゾンちえみ。自然だけどそれでいてキャラが立っていて、悪くなかったと思います。
コンクールのクローク役: 片桐はいり
コンクール会場の受付スタッフとして片桐はいりが登場します。(これ、原作とは全く関係ないよね?
この役、本当に要らなかった…w 片桐はいりは好きですが、その分の時間をもっと他のことに使ってほしかった…。
好きなシーン
キャスティングには不平不満を言ってしまいましたがw、ここからは好きだったシーンについて。
演奏シーン
まず何より、音楽をそのまま楽しめるのは映画の良さですよね。
原作の演奏パートについては、賛否両方の意見があります。好意的な意見としては「音楽を見事に表現している」。好意的ではない意見として「ワンパターンで退屈」。
たしかに、音楽を文章で書くのは非常に難しくて、人を選ぶのも無理ないと思います。
しかし映画では映像と音で楽しめます。ありのままの音楽を味わえるのは映画の良さだなぁと再確認。
特に本選はどの演奏も堪らなかったです。栄伝亜夜もマサルも風間塵も、それぞれの個性がフルに発揮されているようで、非常に良かったです。
デュオ
高島の演奏を聴いた栄伝亜夜は、居ても立っても居られなくなり、ピアノを弾きに行きます。
それにこっそりついてきた風間塵(かわいい)。二人は月光のもとで人知れずデュオ演奏をするのですが、それがなんとも良かったです。
松岡茉優と鈴鹿央士の楽しそうにピアノを弾く演技が堪らんです…。
そして、本選を前にして、スランプに陥るマサル。
そこに颯爽と現れてデュオを申し出る栄伝亜夜がまた良かった。デュオを通して、マサルはスランプを脱却します。
風間塵が高島に触発された栄伝亜夜に音楽を伝えて、それがまたマサルに伝播して、コンテスト全体が盛り上がるという構図ですね。
まさしく風間塵は"ギフト"であったわけですが、その響き合いであるデュオのシーンはとても良かったです。
栄伝亜夜のトラウマ克服
かつて天才少女と呼ばれた栄伝亜夜は、母親を亡くしたのを契機にピアノが弾けなくなってしまいます。
そのトラウマが克服されていく過程が良かったです。
予選で栄伝亜夜が演奏する時、ピアノの表面に栄伝亜夜と母親の二人が写っているあのシーン!
映画ならではの演出ですね!一番好きなシーンです。(でも、この演出は本選に使った方が良かったような…?w
エンドロール
地味にエンドロールも好きです。
「蜜蜂と遠雷」の中で一番好きな曲が「イスラメイ」。これ、風間塵が序盤で弾く曲なんですよね。
ピアノの世界では「超絶技巧」なんて形容されるような難しい曲で、それを風間塵が弾くというのがまた、彼の天才性を強調しているようでした。
映画の本編では残念ながらカットされましたが、エンドロールで流れてきて感激…!
イスラメイ、ハイテンポで聴き心地が最高なので是非聴いてみてください。
総評
さて、原作厨の視点からキャスティングや良かったシーンについて書いてきました。
総評としてはなかなか良かったのではないでしょうか。星評価するなら星4つですかね。
省かれたシーンは多かったけど、2時間の枠に収めたにしては、小綺麗にまとまっていて観やすい仕上がりとなっていました。
映画だけではなくクラシック音楽も楽しめてしまうので、そこもオススメですね。
(少しボリュームがあるけどw)もちろん原作もオススメです!
書いてる人
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