フルリモート生活になって久しい。
かれこれ5年くらい、自宅で仕事をしている。
在宅ワークは快適だ。
作業効率はもちろんのこと、ゲイである自分にとっては「安全な環境で働ける」という安心感がある。
この安全という感覚は、マジョリティ側の人間には分からないかもしれない。
オフィスワークは疲れる。
ゲイであることを隠していると、常にビクビクして過ごさないといけない。何気ない雑談が、「彼女いるの?」みたいな話に発展しうる。
カミングアウトをすれば多少は楽になるけれど、マイノリティであることの精神疲労はなくならない。家族の話とか、結婚の話とか、一方的に聞くだけは疲れる。
それに比べて、在宅ワークは最高だ。
文字通り、命を救われていると思っている。
さて、そんな在宅ワークでも、翳りが訪れることはある。
時々、ランチに行きませんかと誘われることがある。そこにきっと深い意味はない。単純に、同僚としての親睦を深めたいという目的だ。
だけどその一言でグッと疲れている自分がいる。
条件反射的に、「どう断ろうか」「どうやって回避しようか」と考えている。
昔はここまでナイーブではなかった。
オフィスで精一杯働いていた。唐突にランチが発生したときも、なんとか対処できていた。
正直に言えば、仲の良い同僚ができて、本当に楽しく過ごしていたときもあった。
でも、今は本当に無理になってしまった。
フルリモート生活になって、ノンケの同僚と仲良くするモチベーションがなくなったんだと思う。
人間としての強度が落ちている。
でも、これが自分の本来の姿だと思う。
出社していた頃は、本当に無理を効かせていた。その反動で精神的にやられていた期間もあったし。
それに比べて今は幸せだ。彼氏とか家族とか友だちとか、本当に大切な人たちと過ごす時間に比率が増えている。
もう後戻りしたくない。このまま突き進むべきだと思う。
ランチを断って、雰囲気を悪くすればいい。自分の生活を守ろう。