一人暮らしの終着駅

初めて一人暮らしをしたのは、大学を卒業する直前。まさに社会人になる直前でした。

当時はまだ23歳で、住む場所へのこだわりなんて何もありませんでした。大学生活の最後の方に、シェアハウスのような所に住んでいたのですが、そこの住環境があまり良いとは言えなかったので笑、とにかくどこでも良いから一人暮らしをしたかったのを覚えています。

 

当時の記事がありました。引っ越し当日に書かれた記事みたいですね。

 

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初めての一人暮らしに選んだ、千葉県の市川市。

当時の僕は社会人としてのリズムに慣れておらず、毎日が全力投球だったのを覚えています。仕事を終えて、東西線に揺られること30分。最寄り駅に着く頃はもうヘトヘトになっていて、駅前のSEIYUとドン・キホーテに何度救われたか分かりません。

そんな生活だったので、僕はいまだにあの街のことをあまり詳しく知りません。行きつけの定食屋さんも無ければ、心休まるようなスポットも見つけられませんでした。

 

だけどあの街のことを思うだけで、駆け出しのプログラマだった当時の姿を思い出します。動かないコードと何時間も格闘した挙げ句に、先輩がスマートな回答を差し出してくれたあの日の帰り道、寒さなんて全く気にならなかった。魔法を目の当たりにしたような恍惚さに、自然と顔がほころんでいたんだと思います。

自分にはプログラマの適正が無いのではないか、そう疑ったことは一度や二度ではありません。まるで打ち寄せる波のように、そんな疑念は何度も去来しました。だけど、あの日に感じた一瞬のきらめきのような瞬間があるから、今日までやってこれたのだと思います。

憧れで始めたこの仕事がようやく芽吹いたという意味では、あの街は確実にその土壌だったのだと思います。とても地味で淡白な生活だったけれど、僕の内面では毎日大きなうねりが起こっていたのです。

 

 

それから初めての転職を経て、目黒へと引っ越しました。

 

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友人に目黒の話をすると、やはり「中目黒」の印象があるようですが、僕が住んでいたのは目黒駅の近く。そのエリアは案外落ち着いていて、家族や外国人が多かったように記憶しています。

なんと言っても新宿駅までたったの15分です。なんと都会に出てきたことでしょう。

 

では、僕の生活がガラリと変わったかと言えばそんなことはなく、相変わらず仕事中心の生活を送っていました。

平日は目黒にあるWeb企業で仕事に精を出し、週末には憧れだったIT系のイベントに参加するという、絵に描いたような若手Web系プログラマでした。

 

ところが、新しい会社には若くて天才的なプログラマが大勢いて、圧倒的な彼我の差を意識せざるを得ないような、そんな毎日を送っていました。当時の自分は、劣等感と向上心の自家中毒のような状態になっていたような気がします。IT系のイベントに参加するのも、次第に義務感が増してきて、早くも自分の能力の天井が見え始めていました。

 

 

一方で、プライベートの過ごし方へのヒントを掴み始めたのもこの時期です。目黒と聞いて心に浮かぶのは、昼間の景色です。市川市と言えば、平日の夜の、あの帰り道ばかり思い出してしまうのに。

週末には、区営のジムに行ったり、近所にお気に入りのスーパーを見つけたり、自分なりの時間の過ごし方を習得していきました。明日の仕事に備える場所でしかなかった自宅が、それ以上の意味を帯び始めました。少し足を伸ばして恵比寿や五反田まで遊びに行くこともありましたが、家に帰ってくると心からホッと一息ついている自分がいました。

 

目黒という街は、とても静かで暮らしやすい街でした。

確かに仕事の上ではまだまだ足掻いてましたが、のんびりと自分の時間を過ごす方法を教えてくれたのは目黒という街だった気がしています。

 

 

 

前置きが長くなってしまいましたがw、紆余曲折を経て僕は今新宿に住んでいます。新宿という街は、市川市とも目黒とも違う街です。日本のどこにも、新宿のような街は無いんじゃないかと思えるほどです。

とにかく底がなくて、何十年かけても知り尽くすことなんて到底できないんじゃないかという気がしています。

 

正確には西新宿という街に住んでいるのですが、引っ越してきた日にはこんな記事を書いていました。

 

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大学を卒業してから、思えばずっと慌ただしかった。

1年毎に会社を変えて、引っ越しをして。これからの4年間はしっかりと腰を据えて丁寧に生きようと思う。そして良い感じの30代を迎えられたら最高だなとか考えている。 

 

あれから一年が経ちました。

果たして僕は「丁寧に生きている」のか。この一年を振り返ってみると、その答えは半分は Yes で半分は No かもしれません。

 

この一年の間に、遂には会社員を辞めて、本格的にフリーランスになってしまいました。資産運用を始めてみたり、Youtubeに訳の分からない録音動画を公開したり、まだまだ落ち着いた人生とは程遠いかもしれません。

でも新しい「何か」が無いととにかく退屈で、未だに「丁寧に生きている」自分は全く想像できないのです。

 

だけど、病的なほどに飽き性で、そして何かを始めることへの抵抗感が薄い、こんな自分を受け止めてくれたのが、新宿という街であるような気がしています。転がり続けた石ころが最後に収まることができたような、そんな居心地の良さを感じています。

この底なしの街にいると、自分の野心とか欲望が程よく発散できて、なんだか長生きできそうな気がしていますw

 

そんな訳で、表向きの転身とは裏腹に、自分の内面は少しずつ落ち着いてきています。この仕事もすっかり人生の一部となりました。一人暮らしという軸で、ここ5年くらいを振り返ってみましたが、一つの終着駅にたどり着いたような気がしています。

これからは暮らしとか仕事とかよりも、その先にあるものに意識を向けて、エネルギーを注いでいくべきなのかなとか思ったりしています。兎にも角にも、「良い感じの30代」に向けて着々と歩みを進めています。

 

 

そして良い感じの大人は、きっと節目をお祝いするはずです。

 

 

 

 

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5000円のうなじゅうううううううう!!!食べてしまいました。なんという贅沢…。

でも、新宿に住んで一周年だもの。一年間生き延びたんだもの。お祝いしないとですね。ずっとご褒美に取っておいた近所のうなぎ屋に行ってきました。夢叶いました。

 

 

過去のモヤモヤしてる自分へ、27歳まで生き延びれば5000円のうな重が食べられます。

 

未来の疲れ気味な自分へ、27歳の時に5000円のうな重を食べたんだから頑張れ!