世の中を良くするためには怒りが必要。でも、怒りだけでは消耗してしまうのもまた事実だから、ポジティブな感情とのバランスをとることが大事かもしれない、ということを以前書いた。
それから少し時が経ち、1冊の本に出会った。それが「コロナ後の世界」。
これは、著名な6人の知識人へのインタビューを掲載した本。
新型コロナウィルスという切り口で各専門分野の持論が展開される。それでいて約200ページの文量なのでサクッと読めてしまう。
ライトな言い方をすると、とてもコスパの良い本。幅広い読者におすすめ。
詳しい紹介は書評ブログの方からどうぞ。
さて、そんな「コロナ後の世界」にはスティーブン・ピンカーへのインタビューが掲載されている。
僕はこの方を知らなかったのだけど、ハーバード大学の心理学教授とのこと。
彼はデータと統計を重視し、「世界が良くなっている」ことを明らかにしてみせた。
データは長寿化、疫病克服、テクノロジー進歩を物語っている。
しかし、世間には無力感や諦めが蔓延し、過激派や破壊的なリーダーが持て囃されたりする。
その原因の1つとして、メディアの報道の在り方が挙げられる。悲観的な報道は楽観的なそれよりもセンセーショナルで耳目を集める。
それが認知バイアスとなり、人々をしてデータよりも印象を優先させる。
この25年で、12億5000万人の人間が極度の貧困から脱したけれど、そのことは報じられない。なぜなら物事の改善は漸次的なので、センセーショナルさに欠く。
と言ったことが、スティーブン・ピンカーの持論。
ここまで読んで、自分の中で「これだ」という感覚があった。
怒りと喜びのバランスを取る上で、物事の良い側面を見る、というのは1つのテクニックかもしれないなと。
不正や不条理に対して怒りを持ちつつも、世界が良くなったのならそれは祝福していかなければいけないと。ひとつの気付きを得た想い。
以下、 一連の記事。